正確な量を注入・分離する

インクジェットにより形成される液滴

インクジェット法で生成される液滴サイズはφ10μm~100μmです。また、インクジェット法によって生成された微小液滴は空中を飛翔し、約1mm離れた対象物に着滴します。空中を飛翔する先頭の液滴の速度は約5~10m/sです。そのため、1mm程度の距離を100~200μsのわずかな時間で飛翔します。
これらの液滴サイズ、飛翔速度はインクジェット駆動条件の設定、インクジェットヘッドの選定によって制御可能です。

液滴形状、速度の再現性の高さ

インクジェット法は、液滴(粒子)を非常に再現性良く生成することが出来る手法です。
 ここでは、水を1kHzで連続して100回吐出動作を行った場合の動画を画像解析した結果を見ていきます。以下動画は吐出開始1発目から100発目までの吐出過程を高速度カメラで撮影した動画です。

インクジェットにおける再現性の高さは、吐出された各液滴の形状、各液滴の体積を計測し比較することで確認できます。

1発目~100発目の吐出状態

各液滴の体積

同様に吐出過程の画像を解析することで1回の吐出過程で吐出される液滴総量(今回の動画の場合は、吐出過程で発生する2滴の液滴の体積和)を計測します。
[結果]
平均値:28.5pl
標準偏差:0.2pl
CV値:0.7%

※画像解析による体積値は、測定誤差が1pl程度あり、得られた吐出量計測差が測定誤差に比べて小さいため、本結果は参考値です。

インクジェット液滴の体積のバラツキは通常はCv値2%以下です。
しかしこれは安定吐出状態での値です。電磁バルブ方式の液分注やシリンジポンプ方式の液分注ではこの数倍のバラツキが発生します。
基材の上に正確な量の液材をスポッとしたり、ウェルプレートの中に正確な液量を分注する場合は目的によってヘッドを使い分ける必要があります。
同じ種類の液材を多数スポットする場合はプリンター用マルチノズルヘッド、多種類の液材をスポットする場合はシングルノズルヘッドが適しています。

正確なスポット注入は主にバイオ用途で必要とされており、以下に各種バイオ系の装置について紹介します。