インクジェットヘッドと聞くとプリンターで使用されているヘッドとイメージされる方が多いのではないでしょうか?
インクジェットヘッドは既に多くの工業分野で活用されており、今やモノづくりを支える一翼を担っています。電子デバイス分野では「プリンテッドエレクトロニクス」と呼ばれ、近年目覚ましい成長を遂げている分野の1つです。
また最近ではバイオ・ライフサイエンス分野でも注目されている技術になっています。
インクジェットシステムで重要となるパーツはヘッドと呼ばれる液を押し出すアクチュエータです。工業用途で使用されるインクジェットヘッドは、世界十数社のヘッドメーカーが提供していますが、そのほとんどが印刷やマーキング用途向けに開発されたヘッドです。
工業用として専用に開発されたヘッドはほとんどなく、モノづくりに応用する場合には、印刷用に開発されたヘッドに、機能性材料をインクとして充填して使用する形になります。
そのため、機能性材料に対するヘッドの耐液性や長期安定性などが問題になるケースが多く、用途などに応じて最適なヘッドを選定した上で、十分な事前評価が必要になります。
インクジェットヘッドは液を押し出す穴(ノズル)の数が1つの「シングルノズルヘッド」と、複数ある「マルチノズルヘッド」に分けられます。
ライフサイエンス分野では、多種類のバイオマテリアルを分注したり、チップ上に並べる用途において、「シングルノズルヘッド」を液種数だけ搭載した装置が主流であり、マルチノズルヘッドは、水系の液が吐出しにくいことや目詰まりに弱いため、ほとんど用いられていません。
一方、プリンテッドエレクトロニクスと呼ばれる電子デバイス分野では、生産性や大面積塗布が求められる用途において「マルチノズルヘッド」が多く使用されています。
シングルノズルヘッドは生産性や拡張性ではマルチノズルヘッドに劣りますが、耐液性や扱いやすさなどの多くのメリットもあります。また、マルチノズルヘッドは液の制約などが大きく、自社材料を印刷用のヘッドに合わせて作り込む必要があります。
研究開発の初期段階ではシングルノズルヘッドを使用して液の作り込みとスクリーニングを実施し、その後、マルチノズルヘッドでの評価に移行する方が効率的に進めることができます。
また、液材料の変更が難しいライフサイエンスなど分野においては、高密度・高精度に試薬を分注できる利点を生かし、バイオチップ作製などの用途で活用されており、シングルノズルヘッドを複数並べてアレイ化することにより生産装置として使用されている事例もあります。
多くのインクジェットヘッドは、1つのヘッドユニットに複数のノズルが形成されている「マルチノズルヘッド」と呼ばれるものです。
プリンターをはじめ多くの分野で使用されていますが、実はノズル数が1個のみの「シングルノズルヘッド」が存在します。
シングルノズルヘッドは、マルチノズルヘッドに比べて印刷時の生産性が低いなどの課題がありますが、実はノズルを1つにすることによるメリットは多く、用途によってはシングルノズルヘッドの方が適しているケースもあります。
産業用インクジェットヘッドメーカー4社のインクジェットヘッドがラインナップされています。
各社が特徴が異なるため、目的とするデバイス、液、塗布内容に応じて適したインクジェットヘッドが異なります。