均一な膜を形成する

インクジェットによる薄膜形成

薄膜を形成する手法としてスピンコート法などが一般的に知られていますが、大型化が難しく、使用する材料の多くが無駄になるなどの課題があります。半導体などの表面処理やレジストの塗布などのプロセスにおいて、これら課題を解決するためにインクジェット法が検討されています。
インクジェット技術はプリンターのように大型化が容易であり、デジタルデータに基づいて必要な部分にのみ材料を塗布することができる技術です。さらに真空環境などを必要としないため、プロセスの自由度を高くすることができるメリットもあります。そのため厚さが5μm以下の薄膜形成においてものづくりの手法として置き換えが検討されています。厚膜形成では重ね塗りや、UV硬化樹脂を用いた方法があります。

インクジェット薄膜形成プロセス

インクジェット液滴は1滴1滴が分離した状態で基材に着適しますので、膜を形成するにはこの液滴同士が合体しその後レベリングが起こった後安定した厚みになります。厚膜を形成する人には重ね塗りを行うか紫外線硬化樹脂を用いるなどの方法がありますが、均一な膜厚を確保できるのは数µm以下の領域が適しています。
また形成される薄膜は、液滴のサイズと液滴を配置する間隔(ドットピッチ)に応じて作製される薄膜面状態は異なります。薄膜面作製に適したドットピッチは、基板と液との濡れ性や着滴量に応じて異なります。​設定したドットピッチに応じて、ピンホールや厚みムラの発生頻度が異なります。
目的とする厚みの面を作れるかは、使用する液の濡れ性、液の着滴間隔、着滴量、塗布速度等の様々なパラメータが影響します。逆にいう と、目的に応じてパラメータを調整することで、目的とする面の形成が可能となります。これらのパラメータの関係性を把握することが、より重要となります。

各ドットピッチにおける面形成過程